ジギング用ベイトリールは、釣り愛好者にとって強力な武器ですが、初心者にとっては様々なトラブルが待ち受けています。例えば、糸が絡まったり(バックラッシュと言う)、ドラグが調整できていなかったり、メンテナンス不足によるトラブルなどの問題があります。これらのトラブルが原因でせっかくの釣りの楽しみが半減してしまうことも少なくありません。
この記事では2回に分けて、初心者でも安心してジギングを楽しむためのベイトリールトラブル対策を解説します。トラブルの未然防止策、メンテナンス、バックラッシュの対処法を知ることで、ベイトリールのトラブルを克服し、快適な釣りライフを楽しみましょう。
ジギング用ベイトリール
基本的ジギング用ベイトリールは、ルアーを投げず真下に沈めるためキャスティング用と違い、殆どの機種は遠心ブレーキ、マグネットブレーキが搭載されていません。メカニカルブレーキによる制御も可能ではありますが、スプールの回転速度のコントロールが難しく、キャスティングにはあまり向いていません。
基本構造と役割
ジギング用ベイトリールは、フレーム、スプール、レベルワインダー(機種により無い物もある)、ドラグ、ギア、ハンドル等、金属とプラスチックの部品で構成されてます。スプールは糸を巻き取り、レベルワインダーは、スプールにラインを均一に巻き取れるようにする機構です。ドラグは魚が引っ張る力に対しライン、フックシステム、ロッドの強度を越える前にラインを放出し破綻を回避する機構です。ギアはリールを回転させる部分で、ハンドルを回すことでスムーズに糸を巻き取ることができます。それぞれの部品の役割を理解することで、トラブルが発生した際の対処ができるようになります。
発生しやすいトラブルは?
トラブルには、バックラッシュによる糸の絡まり、ドラグの調整不良、巻き取りの重さなどがあります。
バックフラッシュによる糸の絡まり
糸の絡まりは、指によるブレーキミス(サミング)で、ジグを少しでも早く落としたいためスプールエッジから指を完全に放している場合や、メカニカルブレーキが調整できていない場合に発生しがちです。
糸が絡まるトラブルは初心者にとっても大きなストレスです。しかし、適切な対処法を知っていれば簡単に解決できます。ここでは、糸をスムーズに巻き取るためのコツやバックラッシュ時の緊急対策について説明します。
バッククラッシュの対処方法
バックラッシュが起こった場合、冷静に対処することが大切です。まず、リールから糸を少しずつ引き出します。糸同士がクロスしたり、結び目になって絡まった部分をほどき、徐々に糸を引き出します。無理に引っ張るとラインに傷が入ったり、ほどけなくなる可能性が高くなるので注意しましょう。
バックラッシュをおこしている部位を解消できたら、1度ジグを回収してから釣りを再開しましょう。もし糸が完全に絡まってしまった場合は、針やピックを使って慎重に解きほぐします。ほぐす場合も、ラインの繊維を傷つけないようにします。傷を付けてしまった場合はラインブレイクを避けるため、傷の部位でカットするか交換しましょう。
バッククラッシュの対策
構造的に、ベイトリールはスプールが回転しラインの巻き取り、放出を行います。ジグの沈下速度に対しスプールからのライン放出が早過ぎたり、ルアーが着底しラインが止まってもスプールは慣性により回転を続けるため、ライン放出が起こりバックラッシュとなります。
対策として、指でブレーキ(サミング)をかけスプールの回転をコントロールし、ラインの放出を調整します。メカニカルブレーキでも調整対応できますが、ブレーキの締め過ぎはジグの沈下の抵抗になるので注意しましょう。
未然に防ぐためのメンテナンス
リールの各部品を分解し、汚れを取り除いたり、オイルを適切に注入したり、またメーカーにオーバーホール依頼することがも重要です。特に、ベアリングやギア部分の清掃と潤滑は定期的に行うことをお勧めします。これにより、スムーズな巻き取りが可能になります。
ドラグの基礎知識と適切な設定方法
ドラグはリールの重要な調整機能で、魚が引っ張る力に対応するための機構です。適切なドラグ設定は、ライン、ロッド、フックシステムの破綻を防ぎ、さらに魚の口切れを防ぎ魚を効率的に取り込むための最も重要な機能です。
狙う魚種にもよりますが一般的に、ラインの強度の3分の1程度の力でドラグを設定すると良いとされています。ドラグの過度な締めすぎは、ラインブレイク、ロッド、フックの破綻、魚の口切れを高めます。魚種、タックルによっては身体にも大きな負担がかかってしまいます。
魚種、ファイトスタイルを考慮しドラグチェッカーを使用して最適なドラグ値に設定し、ファイトの際ドラグ値を高く、低くしたらドラグの再調整を忘れずに行いましょう。
ファイト時に滑るドラグの対処方法
滑るドラグは、魚とのやり取り中にラインが出すぎてしまい、魚種によっては根に入りラインブレイクを引き起こします。この場合、まずはドラグノブを5分の1もしくは4分の1づつ締め直してみてください。もしそれでも滑る場合は、指ドラグ(指ブレーキ)で対応します。慣れていないとスプールエッジを押さえ過ぎてしまい、ラインブレイクをおこしてしまう事があります。
指ドラグの掛け方は、親指の腹の部分でスプールエッジを徐々に押さえライン放出を制御します。ラインを押さえつけてしまいがちですが、摩擦によりラインにダメージを与えスプールロックもしやすいので、ラインを押さえつけないように意識しましょう。実際のフィッシングで経験を積むことで,適切な力加減を身につけましょう。
ドラグの交換とメンテナンス
まずドラグノブを緩め、そして目的のドラグ値でラインが出るよう締めていき調整します。ドラグ値が極端に変わってしまうとか、スムーズにラインが出ない場合は、ドラグワッシャーの摩耗や汚れを疑ってみてください。
ワッシャーを外して清掃し、ドラググリスを適量使用することでスムーズなドラグ調整が可能になります。ドラグを締めても滑る傾向にある場合、ドラグワッシャーが摩耗している可能性がありますので、ワッシャーの点検・交換を行いましょう。定期的にドラグの状態を確認し、問題が発生した場合は早めに対処することが大切です。また、リールを使用しない場合は、ドラグを緩めておく事でドラグ固着を回避できます。
ジギング用ベイトリール/トラブル対処術 ②に続きます。